漢方薬には本当に副作用がない?
病院やテレビなどで目にすることも多くなった「漢方薬」。しかし知らないことや不安も、いっぱいあるんじゃないでしょうか? そんな疑問をすこしずつ解き明かしていく、 今日のテーマは気になる「漢方薬の副作用」です。
◆漢方薬
生薬のなかには動物から作られたものだってあります。植物の草や花、木や根っこなどから取った生薬を、何種類か組み合わせるものが多い、作用や効果は多岐にわたる。
穏やかに効くものが多く、慢性的、体質的な疾患に対して優れている臨床治験は2千年以上も前から
それぞれに良さがありますが、漢方薬はさまざまな特長の生薬を組み合わせることによって、もともと副作用を出しにくい仕組みになっているのですね。かといって、副作用がまったくゼロとはいえません。
◆西洋薬
化学合成されたものが多い効き目が一定で、薬の品質にバラつきがない。即効性が高く、急性の炎症や感染症に優れている、臨床治験は3~5年で終了する。
■漢方薬でも、一時的に病状が悪化する?
好転反応ともいえる瞑眩。しかし頻繁に起こるものではありませんなお、その人の体質にあった処方を出しても、漢方治療の過程で、一時的に病状が悪化する「瞑眩」(めんげん)という症状が出る場合もあります。
例えば皮膚病で漢方薬を飲んだときに、身体にたまった毒素が出て、血行が良くなったり、新陳代謝が活発になった結果起こるケースです。長くは続かず、2週間くらいで落ち着きます。
しかし、副作用と瞑眩の違いは、素人判断でわかるものではありません。症状が辛い時には飲むのをストップして、医師や漢方相談員に相談するのがベストでしょう。
まずは自分の体質をめんどくさがらずにきちんと伝え、気がかりなことや、どのような副作用が出やすいかなどを、事前によく聞いておくといいですね。なによりも信頼できる漢方専門家に相談し、コミュニケーションをとることが大切です。
■漢方薬のまったくゼロでない副作用のあれこれ
人の体質やそのときの体調によって、処方を変えることができるのが漢方薬の良さです。しかし、正確に自分の症状が伝わっていなかったり、自己判断で勝手な使用方法をすれば、危険を起こす可能性があることもあるのです。次のケースのように、注意が必要なものをご紹介します。漢方生薬アレルギーの方も、中にはいます。
◆漢方薬は高血圧になる場合がある
風邪の症状などでよく使用される漢方薬のなかに、「麻黄」(まおう)という生薬があるのですが、交感神経を興奮させる作用があるので、高血圧の人は控えたほうがいい場合があります。また「朝鮮人参」も虚弱体質にはいいですが、元気な人が使うと血圧が上がるケースもあります。
◆漢方薬は胃腸障害を起こす
一般的に漢方薬は、消化吸収しやすいように食前に飲んでください、といわれます。しかし胃腸の弱い方は、胃もたれ、吐き気、胸やけ、下痢などの胃腸障害が出やすいので、食後に飲むようにと指示される場合もあります。
◆漢方薬は身体がむくむ
薬物を調和させる働きのある「甘草」(かんぞう)は、漢方薬の中によく利用される生薬ですが、多量に服用するとむくみが出たりします。
これらの症状は、その人の体質をきちんと見たうえで、処方を変えていえば防げるトラブルです。服用を止めれば症状はなくなりますが、不調を感じた場合は、処方してくれたお医者さんや薬局にご相談くださいね。